とんちんかんちん気にしない

ヤフー検索での「灰野りつ子」の検索結果では、8件の検索結果がヒットするのだが、その8件のうち三つが私の日記であるという事実が。一つはこれで二つは昔の日記。俺はインターネット的には灰野りつ子王であるという恐るべき結果に。だが2001年ごろのホラーMでのデビューだとばかり思っていたら、実はかなり前にネムキで描いていたことが判明。ホラー系漫画家のキャリアは複雑な場合が多いので、もしかしたらそれ以前にもどこかで描いていたのかもしれない。しかし俺マジで灰野りつ子の作品集欲しいんだけどなあ。一生出ないのかな。同人とかでもいいから出てないのか。いや出てたらインターネットで調べれば見つかるはずか。
多分もう描かないシリーズ・ディッ休さん編
「水飴食えの巻(仮)」
(※)ディッ休さんについての詳細は、左の「ホームページ」より、私のHPへ行って、「デジコミ」よりディッ休さんを見てください。
ある日、しんえもんさんが寺を訪れると、ディッ休さんが一人縁側でタバコを吹かしていた。
しんえもんさん「おやディッ休さんどうしたんだ?拙者は和尚さんに用事があって来たんだが、和尚さんはいないのか?」
ディッ休さん「和尚か・・・事情があって今この寺には俺一人しかいない。そしてこれからも」
しんえもんさん「はあ?」
ディッ休さん「話せば長くなるわけだが、色々複雑な事情があった・・・」
以下ディッ休さんの回想シーン。
ディッ休さんが寺の縁側でスーパー写真塾を見ていると、坊主仲間の怨念さんがあらわれた。
怨念さん「あーちくしょうムカつくなあの和尚はよ」
ディッ休さん「まあ落ち着けや。怒ると形相が歪むぜ」
怨念さん「はあ?なんだそりゃ?禅の公案か何かか?」
ディッ休さん「お前こそ何言ってるんだ?いいから落ち着けよ。一体どうしたんだ?」
怨念さん「いやあの和尚がよ、どうやら俺たちに隠れて水飴を食ってるらしいんだ」
ディッ休さん「水飴?食えばいいじゃねえか。何で大の大人がこそこそ隠れて水飴なんか食わなきゃいけねえんだ?てめえの金で買ったんだから堂々と食えよ。ズビズバー水飴はうまいのうとか言ってよ。だいたいお前も大の大人が人が水飴食ってるからって目くじらたてて怒るのはおかしい。どうかしてるぜ。老い先短いジジイなんだから水飴くらい好きなだけ食わせてやりゃあいいじゃねえか。ズビズバーとか言ってよ」
怨念さん「いやそれはそうなんだよ。そうなんだがな。聞けよ俺の話を」
ディッ休さん「聞いてるじゃねえか。話せよ。話せばいいじゃねえか」
怨念さん「いやそれがだな、ある時俺はジジイが水飴食ってるのを目撃したわけだが、見られたと気付いたジジイは、こう抜かしやがった。『怨念さんや、これはわしの病気の薬なので、食ってはいかん。わし以外の人間が食ったら、死ぬぞよ。わしの病気には薬だが、その病気以外の人間には猛毒になるのだ』とよ。せこい了見だと思わないか?お前の言う通り堂々と食えばまだいいんだよ。これはわしが金払って買ったんだから貴様は食うなとか言ってよ。それが大の大人相手に見え透いたデタラメ言って食わせまいとするなんてよ。だいたいそんなデタラメ言って信じると思ってんのか。人をなめてんのか」
ディッ休さん「話はわかった。で、お前はそのクソジジイがなけなしの金はたいて買った水飴とやらを、盗み食いしてやろうと思ってるってわけか?」
怨念さん「いや別にそんなもん食いたくもないが。寿司とか焼肉ならともかく」
ディッ休さん「というかそのしけた了見のクソジジイをギャフンと言わせてやりたいわけだろ?鼻をあかしてやりたいわけだ。ていうか人間がギャフンと言うのって見たことないがありえるのか?『鼻をあかす』ってのも何だ?意味がわからないな」
怨念さん「いやお前のほうがよくわからねえよ」
ディッ休さん「そんなことはいいんだよ。そのムカつくクソジジイに対するあてつけとしては、合法的にその水飴とやらをお前が食っちまうのが一番だ。そうは思わないか?」
怨念さん「合法的もなにもお前」
ディッ休さん「いいからギャフンと言わせてやるんだよあのクソジジイを。いいからちょっと来い」
ディッ休さんと怨念さん、和尚さんの部屋に行く。ディッ休さんいきなり、和尚さんが命の次に大事にしている家宝の壺を叩き割る。
怨念さん「お前何やってんだ!」
ディッ休さん「いいんだよ。だいたいこんなもん単なる壺じゃねえか。こんなもん大事にしてること自体あのジジイがダメである証明だ。奴を俗世間の呪縛から解き放ってやるんだ。即身成仏だ。それであれだ、お前その水飴とやらはどこにあるんだ?」
怨念さん「確か、押し入れの中に隠してあったはずだが・・・ああ、あったあった」
ディッ休さん「じゃあお前それをむさぼり食え。いいから食え。ズビズバーとか言って」
怨念さん「別に俺はこんなもん食いたくもねえんだが」
ディッ休さん「いいから食え。むさぼり食え。和尚の奴が物音に気付いてここに来る前に食っちまうんだ!」
怨念さん「箸とか棒とかねえのか?」
ディッ休さん「そんなもん使うな。手で食え。そのほうが迫真性が増す」
怨念さん「迫真性?よくわかんねえなあ。お前は食わないのか?」
ディッ休さん「いい年してそんなもん食えるか。寿司とか焼肉ならともかく」
怨念さん「なんか、俺が遊ばれてる気がしてきたなあ・・・」
ディッ休さん「いいから食えよ。そんなことどうだっていいんだよ。甘いか?」
怨念さん「甘いなあ」
ディッ休さん「ほらジジイが来たぞ。お前は俺に任せて食い続けろよ」
和尚さん、壺の割れる音を聞いて自分の部屋にかけつけてみると、粉々になった壺と水飴をむさぼり食う怨念さんの姿を見て呆然とする。
和尚さん「ヒィーッ!な、何しとんじゃお前ら!」
ディッ休さん「ああ、和尚か。いやそれがだな」
和尚さん「それがだなじゃないわ!家宝の壺が!わしの薬が!」
ディッ休さん「いやだから話を聞けって。それが怨念の野郎がよ、あんたの部屋を掃除してる最中に過って家宝の壺を割っちまったんだ。それで死んでわびるしかないっつってよ、俺が止めるのも聞かずその水飴状の物質を食い始めたわけだ。なんかその水飴状の物質は、常人が食うと猛毒になるっていうじゃねえか。そうだよな怨念?」
怨念さん「ああ、そういうわけか・・・そうだよ」
ディッ休さん「食ったか?」
怨念さん「食ったよ」
ディッ休さん「全部食ったか?」
怨念さん「全部食っちまったよ」
和尚さん「な、なんてことを!」
ディッ休さん「まあ死んでわびるっつうからなあ。それで怨念、死にそうか?」
怨念さん「甘くて死にそうだけどな。別に死にそうってことは・・・ウッ!!」
突如怨念の体が、内部より膨らんでドバーンと破裂した。あたりには怨念の肉片と内臓が飛び散った。
ディッ休さん「・・・」
和尚さん「だから言ったのじゃーッ!これはわしの病気の発作を押さえる薬であり、常人が飲むと体が膨張して爆死してしまうのだ!ウッ発作が!く、薬はないのか!?」
ディッ休さん「いや、非常に申し訳ないんだが、あいつ本当に全部食っちまったみたいだ。つかぬことを聞くが、あんたの病気って一体なんなんだ?」
和尚さん「体が内部に向かって収縮する奇病じゃ!体が膨張する薬でバランスをとるしかわしには生きる道がないのじゃ・・・ウッ!!」
突如和尚の体が、内側に向かってベキベキベキと急速に収縮して、和尚はまるで周囲から圧力を加えられてすりつぶされたようになって死んだ。
場面、冒頭に戻る。
ディッ休さん「こうしてみんな死んだ。そして俺は一人きりになってしまった・・・諸行無常ってやつだ」
しんえもんさん「本当かよ?嘘だろ?」