カートの日記

今日はデブと魔術師相手にジョークを披露しながらなごやかな時間を過ごしていた。
「それでオレは言ってやったわけだ。そいつはお前がメキシコ人だからだろ?ってな」
「ワーッハッハッハッハッ」
「ワーッハッハッハッハッ」
「いやあ、カートのジョークはいつ聞いても気がきいてるぜ」
「まったくだ。オチが気がきいてるんだよなオチが」
そこへホモの奴がやってきてなごやかな雰囲気に暗雲がたちこめた。
「グフ・グフ・グフフフフ…まったくカート君のジョークはたいしたものだ。なにしろオチがきいている。ところで吾輩もとっておきのジョークがあるのだが、聞きたくないか?」
当然誰も聞きたくないので聞きたいとは言えないが、聞きたくないと言ってもどうせまあそう言わず聞きたまえとか言って話しはじめるに決まっているので、オレ達は何も答えずに黙っていた。
「ある時一人の男が山道を歩いていた」
案の定勝手に話し始めた。
「男は、山道を歩いていると、急にクソがしたくなった。便意をもよおしたわけだ。彼は近くの薮の中に入ってパンツをおろすと、括約筋の緊張を解放した。簡単に言うと大便を放出したわけだ。クソをひり出した。排便した。そうして、クソをひり終わって、ふと足元を見ると、そこには一匹の毒蛇がとぐろを巻いているではないか。男は仰天して腰を抜かした。そう!彼は自分のひったクソがとぐろを巻いているのを見て、毒蛇と間違えて腰を抜かしたってわけだ!ヒャーッハッハッハッ…ハッ…ハ…」
「なあ、そろそろこいつ殺しておくべきだと思わないか?」
「殺すまでのことはないが二度とくだらないことが言えないよう、口を糸で縫い合わせたほうがいいかもしれないな」
「いずれにしろ5、6発殴っておく必要はあるだろうな」
「はわわわ!お、おかしいのう!サウナでは大受けだったのに!待ってくれ!待ってくれたまえ!この話には続きがあるんだ!これで終わりではない!そんなわけないじゃないか!続きを聞いてくれ続きを!腰を抜かした男がふと自分の股ぐらを見ると、そこには一匹のコブラが牙をむいているではないか。驚いた男がギャーッと悲鳴をあげるとコブラは口からシャーッと毒液を吐き出した。そう!動転した男は自分の一物をコブラと見間違え、失禁して小便を放出するチンポがコブラが毒液を吐いているように見えたのだ!ギャーッハッハッハッハ…ハ…ハ…」
オレは本気で人を殴り殺す時にしか使わない指金具を指にはめて立ち上がった。デブは右手にフォークと左手にステーキ皿を持って立ち上がった。あの温厚な魔術師ですら、チャッカマンと消毒用アルコールを手にして立ち上がった。
「ヒィィィーッ!お金なら払いますんで勘弁してくださーいッ!」
と言うとホモはしわくちゃの札を何枚かテーブルの上に放り投げて走って逃げていった。その金でオレ達は寿司を食いにいった。寿司を食いながらオレはあいつが言ったんじゃなければ意外と面白いかもしれないと思った。今度、別の場所で話してみよう。ジョークというものはいつ誰が言うかが内容に劣らず重要だ。